2017年7月下旬に制作・9月頭の文化祭で配布した文芸部全員での合同誌……に、出したお話です。
290文字。ふわっさらっおわり、みたいな、SSにあるまじき緩さです。
イラスト担当の友人と共に出した個人誌(合同の個人誌とはこれ如何に)の連作もあるんですけど、そっちはその……徹夜で作業したが故にやっつけ感が否めないというか、恥ずかしすぎて載せたくないというか、もにょもにょ。
卒業前にリライトするのではないかと思われます。2年後の私に期待。
続きを見るからどうぞ。
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青空のもとへ、私は飛び込んだ。燦々と煌めく太陽が肌を焦がす。
一歩遅れて、噎せ返るような暑さがやってきた。
私は夏が好きだ。
やたらと増える虫も、この暑ささえも――好ましく感じる。
一年でもっとも地球の鼓動が感じられる、夏が好きだ。
イヤホンをつけて自転車を漕ぐ。ギターの音が流れ出した。
こうしていると、どこへだって行けそうな気さえしてくる。行く当てなんて無いけれど。
いや。だからこそ、そんな気がするのかもしれない。
より力強く、ペダルを踏みしめた。
積乱雲と共に行こう。どこまでも、どこまでも。
どこかの家の風鈴が、ちりん、と涼しげな音をたてた。
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