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てい・ぽっと

創作。 新作は年2ペースです。

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酔い桜

まだ部誌は出てない、というか締め切りすら来てないんですがね。
我 が 家 の P C が 死 ん で る
ので、とりあえずここから処理研のPCにコピペしようかと思いまして。
締め切り前はたぶん、部室開かないんですよね……明後日からテスト期間入っちゃうし。
Word触るのは今日がラストチャンスなわけです。
貯めてたネタと言う名のタイトルから1つ引っ張ってきて、n年ぶりにプロットらしきものを書いて、1時間半ほどで書き上げて、校正ツール通して微調整しました。プロットだいじ。

592文字。
続きを見るからどうぞ。




 四十年ほど前になりますか、下宿の近くに公園がありましてね。桜の大木が植わっていたんですよ。ええ、春になると、そりゃもう見事な大輪をいくつもつけて。毎年、カップ酒をあおりながら窓の桜を見たもんです。
 その年は開花が早くて――三月の十日すぎくらいでしたかね――当然、散るのも早かったわけです。いつもは満開の頃に呑むのですが、当時は仕事が忙しく、下宿には寝に帰るだけの生活をしていました。呑む余裕ができた頃には、すっかり散ってしまいましたよ。
 しかしまあ、毎年の楽しみです。葉桜を眺めながらというのも乙なものだろうと、夜更けにひとり呑んでいました。
 花見酒を堪能し、いい加減に酔いが回ってきた頃です。淡い桃色をした、蛍のような光が舞いはじめました。ふわふわと桜の周囲を飛び回るそれは、ひとつ、またひとつと増えてゆきます。そして遂には、葉桜を満開にさせるまでに至りました。その美しさたるや、一本で吉野の桜にも匹敵するほどです。
 どれくらいの時間が経ったのでしょうか。瞬きの間さえなかったようにも、永遠であったようにも思えます。あるいは、時が止まっていたのかもしれません。
 暫くして――便宜上そう表現します――光はひらりひらりと散り、やがて夢のように掻き消えました。散りぎわが美しいのは、桜だけでないようです。
 アテのなくなった下宿の窓には、酒を呑み下す音のみが残りました。

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