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てい・ぽっと

創作。 新作は年2ペースです。

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プロローグ あるいは邂逅


「誰……?」
今日はえらく雨風が強かった。台風が来てるわけでもないのに。
やっとの思いでマンションについて、自室のドアを開けた。
そう、ただただルーチンをこなしていただけ。
そしたらドアの向こうには知らない人がいた。めっちゃ寛いでた。ソファに寝転がってぐでーってしてる。端的に言って、わけわかんない。
「うおおおおお!? なんで見えてンだよアン
タ!? 本職の方ですかぁぁぁ!?」
なぜか向こうのほうが驚いてる。私が驚くとこでしょ、フツー。
「本職って何のよ。今なら警察呼ばないであげるから、さっさと出てって」
「えー、アレだよ。霊的なヤツの。雨やんだら出てくからさー、頼むよ」
おねがい! とばかりに手を合わせる男。雨やむまででも嫌なんだけど。
それはそれとして。
「霊的なって……あんた、幽霊なの?」
「んあ? 見てわかるだろ、透けてんだし。立派なユーレイだよ」
ほんとだ、よく見たら透けてる。でも。
「足あるじゃん」
「足吹っ飛ばされて死ねってか!? 鬼かよ!? 幽霊は! 死ぬ直前の姿を! してるんですー!」
いや、初耳だし。日本の幽霊といえば足のない白装束だもの。
「でも、霊感なんてないわよ。私」
「マジで? ……あー、生前の知り合いが言ってたことなんだけどさ。 誰もが霊感はあるらしい。幽霊も人間もチャンネルがあって、チャンネルが合ったら見える、らしい。これくらいしか説明つかねえよなぁ」
「へぇ。信仰心とか無くても見えるもんなのね」
「俺も全く信じてなかったけど、実際なってるからなあ。そういうモンなんじゃね。ま、雨がやむまでよろしく頼むぜ」
「え、ちょっと。私まだ了承して――聞いてないし」
自称幽霊はいつの間にか今日の朝刊を引っ張り出してきていたようで、やたら真剣な面持ちでそれを読んでいる。しばらく動かなそうだな……。
かくして、奇妙な居候との生活が始まった。

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